地球の母親:自然の苦悩を人間の感情に変換

ナシール・ベヘバニによる感動的な写真作品

地球の温暖化と汚染による影響を人間の感情として表現した写真作品「Mother Earth」。ナシール・ベヘバニは、自然の色彩と枯れゆく花びらを用いて地球の苦しみを表現し、視覚的なメッセージとして現代のライフスタイルがもたらす問題について人々の注意を引く。

子供の頃、冬はもっと寒く、長く感じられた。しかし、地球温暖化の影響で気候は変わりつつある。地球は死にゆき、その原因は我々人間である。そんな思いから、ナシール・ベヘバニは地球を病んだ女性として描くことを思いついた。彼女のメイクは海や植物、土をイメージしたもので、モデルにはアフリカの女性を選んだ。彼にとって、アフリカは自然に最も近い場所だからだ。

この作品の特徴は、地球の汚染による苦しみを人間の感情に変換することで、現代のライフスタイルがもたらす問題について人々の注意を引くことにある。メイクアップアーティストに対して、自然の色彩を表現するためのアイデアをスケッチで伝え、モデルには脆弱さと悲しみを表現するよう指示した。撮影には大きなオクタボックスをモデルに、そして一つのライトを背景に向けて使用した。

この写真は、キャノン5d Mark ii、キャノン85/1.2 @ s100, f9, ISO 50を使用して撮影され、LightroomとPhotoshopを用いて編集された。キーワードとしては、「ポートレート」、「地球」、「スタジオ」、「写真」、「メイク」、「自然」、「汚染」、「人々」、「女性」が挙げられる。

このプロジェクトにはメイクアップアーティストのファティマ・ユーシフとモデルのダラールが参加した。撮影はクウェートで行われ、メイクと撮影には約3時間、レタッチには2時間を要した。

地球が人間の形を持つとしたらどのように見えるか、というのがこのプロジェクトの核心である。そのため、他のアーティストがこのコンセプトをどのように表現しているかを調査し、それを元に自分のスケッチを作成した。アフリカのモデルを採用したのは、アフリカが他の地域よりも自然とのつながりが強いと考えたからだ。病気を象徴するために枯れた花びらを使用し、自然の色として緑、青、茶色を選んだ。

このプロジェクトで最も困難だったのは、アフリカのモデルを見つけることだった。このプロジェクトを行った当時、モデルエージェンシーは一般的ではなかったため、特定のルックスのモデルを見つけるのは難しかった。

「Mother Earth」は、ナシールの視点から見た現実の反映である。彼はポートレート写真家として、汚染の結果として病んでいる地球を人間として捉えることを決意した。ナシールは、地球を人間の形で表現するためのメイクの要素を慎重に選び、地球が人間の形を持つとしたらどのように見え、どのように感じるかを「Mother Earth」の写真を通じて示そうと試みた。

この作品は、2020年にA' Photography and Photo Manipulation Design Awardでシルバー賞を受賞した。シルバーA' Design Awardは、優れた専門性と革新性を示す、クリエイティブでプロフェッショナルなデザインに授与される。これらのデザインは、強力な技術的特性と素晴らしい芸術的技術を持ち、優れたレベルの卓越性を示し、ポジティブな感情、驚き、そして驚嘆を引き出す。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: naseer Behbehani
画像クレジット: Image #1: Photographer Naseer Behbehani, Mother Earth, 2015. Image #2: Photographer Naseer Behbehani, Progress 1, 2015. Image #3: Photographer Naseer Behbehani, Progress 2, 2015. Image #4: Photographer Naseer Behbehani, Progress 3, 2015.
プロジェクトチームのメンバー: Makeup artist: Fatima Yousif Model: Dalal
プロジェクト名: Mother Earth
プロジェクトのクライアント: naseer Behbehani


Mother Earth IMG #2
Mother Earth IMG #3
Mother Earth IMG #4
Mother Earth IMG #5
Mother Earth IMG #5

デザイン雑誌でさらに詳しく読む